~このコーナーでは言葉や文化の違いをテーマとして世界で起こっている興味深いニュース 記事をピックアップしていきます。~
みなさん、いよいよ東京オリンピック開幕となりましたね。この記事が掲載される頃には多くの競技が行われ、テレビに釘付けの日々ではないかと思います。コロナウィルスパンデミックというかつてない状況下で開催されるオリンピックに様々な意見があるかと思いますが、人々の活動、なかでも文化芸術、スポーツをいかに人類の英知を結集して活動できるようにするか、そういう意味でぜひ意義ある大会になってほしいと筆者個人としては願っております。
そこで今回はオリンピックにまつわる”言葉”に焦点をあててご紹介していきたいと思います。
The Olympic Motto
”Olympic Motto”と聞いてすぐにピントこなくても「より早く、より高く、より強く」と聞けば聞き覚えありますね。ラテン語の”Citius, Altius, Fortius”から来ており英語では”Faster, Higher, Stronger”と訳され広く知られています。
この標語は近代オリンピックの父として名高いフランス人Pierre de Coubertin男爵と親しかったフランス人神父Henry Didonによるものです。
今回の東京オリンピックではこの標語に新たに”- together”という言葉が追加されたそうです。ラテン語では”Communis”です。コロナ禍のオリンピックならではのこの記事についてはIOCのサイトからご覧ください。
The Olympic Oath
オリンピック宣誓は先述の近代オリンピックの父クーベルタン男爵により書かれ1920年のアントワープ大会で初めて宣誓が行われました。
クーベルタン男爵による宣誓内容、実際はフランス語ですが英語訳は以下のとおりです。
“In the name of all competitors, I promise that we shall take part in these Olympic Games, respecting and abiding by the rules that govern them, in the true spirit of sportsmanship, for the glory of sport and the honor of our teams.”
この宣誓においても今回の東京大会ならではの文言が加えられたようです。
東京オリンピック大会の宣誓に関する記事はこちらです。
Olympic Values
ここでいうvaluesという言葉を日本語でどのように訳せばいいのか、valueという言葉には「価値」という訳語では収まらないもっと根本的な観念が含まれていると思います。オリンピックが持つべき倫理観、噛み砕いて言うとオリンピックのあるべき姿とでも言いましょうか。
Olympic valuesとして挙げられるのは、”Excellence”, “Friendship”, “Respect”の3つが基本です。近代オリンピックの父クーベルタン男爵の思いがこのvaluesに込められていますが、ギリシャスタンダードだった古代オリンピックを世界スタンダードとして新たなvaluesとともにに復活させたのが近代オリンピックとも言えるのではないでしょうか。
また、パラリンピックのvaluesとしては”Courage”, “Determination”, “Inspiration”, “Equality”の4つが挙げられています。
下記に”Ethical factors in sport”と題されたBBCの教育用サイトがありましたのでご紹介しておきます。
上記のOlympic values, Paralympic values以外にも“Gamesmanship”, “Etiquette”, “Sportsmanship”といった馴染みのある単語が並びますが、そうした基本的な言葉が持つコアな意味を改めて知ることができ、英語学習者の方にとってもいい勉強になるのではないでしょうか。
ではここで古代オリンピックの歴史をとてもコンパクトにまとめた動画をご紹介します。
The ancient origins of the Olympics
最後に”Citius, Altius, Fortius”のmottoで締めくくられていますね。
古代オリンピックは古代ギリシャ全能の神Zeusを祭る宗教的行事として紀元前776年に始まりそれからローマ軍侵攻により異教徒の祭事として廃止されるまで1169年間、紀元後393年まで開催されました。Olympicという言葉は古代オリンピックが開催されたギリシャの地、”Olympia”に由来することはよく知られていますね。また4年に一度の開催というのは、古代ギリシャで採用された太陰暦で区切りの良い年とされた8年ごとに行われていたのが後に半分の4年に一度となって定着したようです。競技種目は紀元前728年までの13大会は1スタディオン(191m)の競争だけでした。この191mという距離は全能の神ゼウスの600歩分として計測されたとか。英語の”stadium”はこの古代ギリシャの単位であったスタディオン、”stadion”からきているんですね。
当時は各地で戦争が絶えなかったのですが、オリンピックの時期は聖なる休戦と称し、戦いの場をオリンピックの競技場に移して競い合いました。12世紀にわたる古代ギリシャオリンピックにおいて中止された試合がないと言われているのは驚くべきことですよね。当時のオリンピアを聖地とする絶対的な秩序が保たれていたことが伺えます。
種目としては近代オリンピックにも引き継がれているレスリングやボクシング、ハンマー投げなど様々な種目が行われるようになりましたが、レスリングやボクシングなどは今では考えられないような命をかけた熾烈な競技であったようです。
古代オリンピックについては競技内容など以下のサイトでわかりやすく紹介されていますのでご興味ありましたらご覧になってみてください。
では最後になりますが、東京オリンピック・パラリンピックが無事に行われることを願って世界のアスリートに敬意を表し、歴代オリンピックアスリートより発せられた心に残る”言葉”をご紹介して今回の記事の締めくくりとしたいと思います。
31 Inspirational Quotes By Olympic Athletes On The Spirit Of Sportsmanship
さあ、みなさん、”Citius, Altius, Fortius – together”の躍動する姿をテレビを通してじっくり味わいましょう!